皆さんは、8月にテイラー・スウィフトがト比(Joe Alwyn)からプロポーズされた際、腕に着けていた時計をご観察いただけたでしょうか。
それは、もはや生産も終了し、市場に出回ることも稀な「カルティエ サントス ドモワゼル(Santos Demoiselle)」というモデルでした。
この「幻の一枚」に憧れを抱いても、アンティーク市場で数百万円を投じて状態の良い個体を探すのは、現実的ではありません。
そこでご紹介したいのが、この「カルティエ パンテール(Panthère de Cartier)」です。
特に今回注目する「大号(グランモデル)」は、性別を超越したユニセックスなデザインと、カルティエの本質を突くメカニカルな美しさで、サントス ドモワゼルへの”意難平”を十分に癒してくれるはずです。
1. その佇まいは、まるで宝石
1980年代に誕生したパンテールは、カルティエが「時計は、身につける宝石である」という哲学を体現したモデルです。
ケースデザイン:
シャンパンゴールド(18Kイエローゴールド)のケースは、スクエア(正方形)でありながら、四隅を意匠的に丸く処理した「クッション型」のフォルムをしています。
もちろん、サントス同様に「留め具(リュウズ)」はスクエアカボション(四角いカット)のブルーサファイアがセッティング。
しかし、サントスが「飛行船の先端」を連想させる幾何学的な硬さを持つなら、パンテールは「獲物を狙う獣」を彷彿とさせる、しなやかで有機的なラインが特徴です。
サイズ感:
31mm × 42mmというサイズは、男性にとっては主張しすぎず上品な「ミニマルウォッチ」、女性にとっては存在感抜群の「ビッグウォッチ」として、性別を問わず愛用されています。
そして何より、6.71mmという驚異的な薄さが、この時計を「高級感」で満たしています。
腕にフィットした際の軽やかさと、金属が肌に触れる冷たさが、まさに「ジュエリー時計」という言葉に具現化されています。
2. しなやかな輝き:5列式リンクブレス
この時計の最大の見どころは、ケースと一体化した「5列式リンクブレスレット」です。
造形美:
5列に並んだローマ数字のリンクが、まるで甲冑のように繋がっていますが、その造りは非常に繊細。
カルティエの職人が「金属に柔らかさを宿らせる」技術が結晶化したこのブレスは、腕を動かすたびに光を反射し、まるで流れる水のよう。
腕の甲を覆うようにフィットするので、腕を組んだ際やキーボードを打つ際にも、邪魔になることがありません。
文字盤:
クラシックなローマ数字と、ブルースチールの針。
そして、10時位置に隠れるように配置された「Cartier」のロゴ。
これらの要素が、無駄を一切排した文字盤に収まることで、「100年の時を刻んできたブランド」ならではの余裕を感じさせます。
3. 石英だからこそ叶う、究極の薄さ
さて、時計好きの方の中には「機械式じゃないのは物足りない」という声もあるかもしれません。
しかし、このパンテールがここまで薄く、ここまでしなやかな着け心地を実現しているのは、「石英(クォーツ)ムーブメント」を採用しているからこそです。
実用性:
オフィスワークや日常の着用を考えた場合、石英は「巻き上げ不要」「高精度」「長寿命」という、メリットしかありません。
カルティエはこの機芯に、裏蓋を開けた際に見えるように「日内瓦波紋(Côtes de Genève)」や「ブルー仕上げ」を施すことで、見た目の高級感を損なっていません。
総評:なぜ、今、パンテールなのか
サントス ドモワゼルは、確かに「幻」です。
しかし、その人気の本質は「カルティエのクラシカルなスクエアケース」への憧れと、「アンティークならではの薄さ」に他なりません。
それらを現代で再現するにあたり、「パンテール」は最良の選択肢です。
価格帯: 約24万円(カルティエ公価)。
入手性: サントス ドモワゼルとは比べ物にならないほど高い。
この時計を身につけるということは、単に「時間を知る」ためではなく、「自分の手元には、歴史ある宝石があるのだ」という、静かな自信を手に入れることに他なりません。
製品仕様
項目 内容
ブランド カルティエ(Cartier)
モデル パンテール ドゥ カルティエ(大号)
ケースサイズ 31mm × 42mm
厚さ 6.71 mm
素材 18K イエローゴールド (シャンパンゴールド)
ムーブメント 石英 (Cal. 801)
防水 30 m
ブレスレット 5列式リンク (一体型)
筆者の一言:
「男女兼用」という言葉が一番似合う時計は、おそらくこのパンテールです。
サイズ感とカラーリングは、どんな装いにも自然と溶け込み、それでいて「それなりのモノ」であることを、周囲に主張する存在感を持っています。